今日の診療
治療指針
小児

思春期早発症
precocious puberty
長谷川奉延
(慶應義塾大学教授・小児科)

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ニュートピックス

・家族性ゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)依存性思春期早発症の33~46%にMKRN3バリアントが同定される.

治療のポイント

・GnRH依存性思春期早発症の治療のスタンダードは長時間作動性GnRHアナログである.

◆病態と診断

・思春期早発症は暦年齢に比して2次性徴が早期に出現する状態の総称であり,GnRH(gonadotropin releasing hormone)分泌増加に起因するGnRH依存性(いわゆる中枢性)思春期早発症と,GnRH分泌増加によらないGnRH非依存性思春期早発症に大別される.

・女児においては7歳6か月未満の乳房発育,8歳未満の陰毛発生・小陰唇色素沈着などの外陰部早熟・腋毛発生,10歳6か月未満の初経で,男児においては9歳未満の精巣・陰茎・陰嚢の明らかな発育,10歳未満の陰毛発生,11歳未満の腋毛発生・ひげの発生・変声で本症を疑う.

・GnRH依存性ではGnRH負荷試験における黄体形成ホルモン(LH:luteinizing hormone)と卵胞刺激ホルモン(FSH:follicle stimulating hormone)の過剰反応を,GnRH非依存性ではGnRH負荷試験におけるLHとFSHの低反応を特徴とする.

・女児思春期早発症の75%以上は特発性(すなわち原因不明の)GnRH依存性であり,男児思春期早発症の60%以上は器質的疾患を有する.

◆治療方針

 思春期早発症の治療の目的は,年齢に不相応な2次性徴を抑制することによりその時点での心理社会的問題を回避すること,および成人身長の予後を改善すること,の2点である.

A特発性GnRH依存性思春期早発症の治療

 ゴナドトロピン分泌抑制を目的としたGnRHアナログ(リュープロレリン)治療を行う.

Px処方例

 リュープロレリン(リュープリン)注(1.88mg/V) 1回30μg/kg 

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