頻度 よくみる(有病率2~6%)
GL斜視に対するボツリヌス療法に関するガイドライン(2020)
治療のポイント
・視線のずれによる両眼視機能不全,立体視不良,複視,易疲労感などの自覚症状がみられ,手術適応となる.
・自覚所見がなくても,他覚的に視線のずれが気になるような場合には整容的治癒目的に手術を行う.
・プリズム眼鏡による光学的対応や,ボツリヌス毒素注射で治療を行うこともできる.
◆病態と診断
A病態
・斜視とは,両眼の視線が異なる方向を向いている状態である.視線方向によって,内斜視・外斜視・上下斜視などがある.
・常時ずれている状態が斜視,自力で視線を揃えることができる状態が斜位である.ごくわずかな斜位はほとんどの人にみられる.
・疲労時・起床時・就眠直前・泥酔時などに融像ができず,複視を自覚するのは正常範囲内である.
・斜視角が大きく顕性の場合,外見的に視線が合わない.
・先天性の場合は自覚がない場合も多い.後天性の場合には複視を自覚する.
・眼球運動制限のある非共同性斜視では,斜視角が最も小さくなる視線方向を好んで代償性頭位(斜頸・顔回し)を取る.
・斜視では両眼視機能が障害され,精密な立体感覚や奥行き感が低下する.
・小児では視覚の発達期にあり,この時期に斜視があると,両眼視機能が育たなかったり,弱視になることがある.
B診断
・斜視角の定量・立体視機能・両眼視機能・眼球運動障害の評価を行う.
・後天性の場合には,脳神経障害や眼窩底骨折などの原因検索目的にCTやMRIで画像診断を行う.
・重症筋無力症や甲状腺機能障害に伴う場合もあり,採血を行う.
◆治療方針
斜視角と頻度,自覚症状によって治療方針を決める.自覚症状が強く,斜視角が小さい場合は,プリズム眼鏡で対応する.斜視そのものは治らないが,複視は軽減する.自覚症状が強く,斜視角が大きい場合は,手術を行う.自覚症状に乏しく,斜視角が大きい場合は,整