今日の診療
治療指針

緑内障(薬物療法)
glaucoma(medical treatment)
本庄 恵
(東京大学准教授・眼科学)

頻度 よくみる〔日本緑内障学会多治見緑内障疫学調査(多治見スタディ)では,40歳以上の有病率は推定5.0%であった〕

GL緑内障診療ガイドライン(第5版)(2022)

ニュートピックス

・新しい作用機序であるEP2作動薬が臨床応用され,第1選択薬の選択肢が増えた.

・配合点眼薬の種類が増え,特にβ遮断薬を含まない配合点眼薬が登場し,多剤併用療法の選択肢が増えた.

治療のポイント

・現在,緑内障に対するエビデンスに基づいた唯一確実な治療法は眼圧下降である.

・薬物治療の原則は必要最小限の薬剤と副作用で最大の効果を得ることである.

・アドヒアランス向上のため配合点眼薬は有用だが,原則として初回は単剤から開始する.

・緑内障の進行にかかわる危険因子を評価し,治療方針は患者ごとに決定する.

・眼圧コントロールに多剤併用を要するときは,手術療法などの他の治療法も選択肢として考慮する必要がある.

◆病態と診断

A病態

・緑内障は進行性・不可逆性の視神経症と対応する視機能異常を呈する疾患で,高齢になるほど有病率は増加する.

・緑内障の定義に眼圧上昇は必須ではないが,最大の危険因子とされ,正常上限は20mmHgとされる.

・緑内障は房水流出路である隅角の開放/閉塞により,開放隅角緑内障と閉塞隅角緑内障の二型に大別され,眼圧上昇の原因により原発性と続発性に分類される.

B診断

視神経視野に特徴的変化を有し,通常,十分な眼圧下降により視神経障害進行を抑制しうる進行性視神経症が緑内障である.

・日本人では眼圧が正常範囲である正常眼圧緑内障が多く,総称して「原発開放隅角緑内障(広義)」と眼圧上昇を認める「原発開放隅角緑内障(狭義)」に区別される.

・続発開放隅角緑内障は落屑緑内障,血管新生緑内障,ステロイド緑内障が主なものである.小児の緑内障は,主に発達緑内障と続発緑内障に大別される.

・閉塞隅角緑内障では,隅角閉塞が眼圧上昇の原因

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