今日の診療
治療指針

ぶどう膜炎(内眼炎)
uveitis(intraocular inflammation)
竹内 大
(防衛医科大学校教授・眼科学)

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ニュートピックス

・これまでの治療に奏効しない難治性非感染性ぶどう膜炎に対する抗TNFα製剤の使用が認可されて以来,治療成績が向上している.

治療のポイント

・副腎皮質ステロイドによる眼局所の抗炎症治療が中心である.

・眼局所治療だけでは不十分な活動性の全身疾患に伴う内因性ぶどう膜炎では,副腎皮質ステロイド,免疫抑制薬の全身投与を併用する.

・感染症であれば原疾患に対する治療を要す.

◆病態と診断

A病態

・ぶどう膜炎(内眼炎)とは,ぶどう膜を構成する虹彩,毛様体,脈絡膜における炎症を含め,眼内の透明組織に浸潤細胞がみられる疾患の総称である.

霧視,飛蚊症,羞明,充血,視力障害などの症状が現れ,予後は原疾患によりさまざまであるが,重症例では失明に至る難治性眼疾患である.

・原因には,免疫異常,感染,外傷のほか,白血病,リンパ腫などの血液疾患,腫瘍性疾患,糖尿病などの代謝性疾患なども含まれ,50種類以上の原因疾患があるとされる.

・全体の約80%は免疫異常が原因と考えられる内因性ぶどう膜炎であり,サルコイドーシスベーチェット病Vogt-小柳-原田病は全体の約30%を占めることから,本邦における三大ぶどう膜炎といわれている.

・解剖学的なぶどう膜炎の主病巣により前部,中間部,後部,および眼球全体の汎ぶどう膜炎に分類することができる.

B診断

・全身検査が不可欠であるが,約50%は精査を行っても診断に至らない原因不明のぶどう膜炎である.

・約20%みられる感染性ぶどう膜炎の原因には結核,梅毒,細菌,真菌,ウイルス(単純ヘルペスウイルス,水痘・帯状疱疹ウイルス,サイトメガロウイルスなど),寄生虫(トキソプラズマ,トキソカラ)などがある.

・眼所見から感染性ぶどう膜炎が疑われたら積極的に眼内液を採取し,塗抹,培養,PCR検査を行うことが大切である.

◆治療方針

 ぶどう膜炎治療の目的は,①抗炎症薬に

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