頻度 あまりみない
GL抗アクアポリン4抗体陽性視神経炎診療ガイドライン(2014)
治療のポイント
・抗AQP4抗体と抗MOG抗体の有無とステロイドパルス療法への反応性をみて,血液浄化療法やIVIgを迅速に行うか判断する.
・抗体陽性例では再発抑制のため免疫抑制薬を使用する.
◆病態と診断
A病態
・視覚情報を脳に伝達する網膜神経節細胞の軸索とその支持細胞であるアストロサイトと血管からなる視神経は,さらにオリゴデンドロサイトが形成する髄鞘で被覆されている.
・視神経炎は,脱髄が中心で予後良好な特発性視神経炎(一部は多発性硬化症へ移行)が約8割,抗アクアポリン4(AQP4)抗体が主に関与しアストロサイトが標的となり予後不良の視神経脊髄炎関連疾患(NMOSD:neuromyelitis optica spectrum disorder)が約1割,ステロイドによく反応するが易再発性の抗ミエリンオリゴデンドロサイト糖蛋白質(MOG)抗体陽性の視神経炎が約1割を占める.
B診断
・急性,亜急性の片眼性ないし両眼性の視力低下と視野欠損を主訴とする.中心暗点を呈することが多いが,抗AQP4抗体陽性例では,水平・垂直半盲をきたすこともまれではない.抗MOG抗体陽性視神経炎では対光反射が減弱し,しばしば視神経乳頭腫脹をきたすと同時に,眼球運動時痛を伴う.抗MOG抗体陽性例では性差がなく,ほかの視神経炎では女性が大半を占める.
・眼窩造影MRIで球後視神経から長い場合は視索まで造影される.
◆治療方針
破綻した血液脳関門の安定化と免疫の正常化を企図して,ステロイドパルス療法を急性期の第1選択とする.ただし,特発性はステロイドパルス療法のみでよいが,多発性硬化症への移行に留意する.NMOSDではステロイドパルス療法が無効なことも多く,その場合は,時機を逸さず血液浄化療法や免疫グロブリン大量静注(IVIg)を行う.また