治療のポイント
・口内炎とは,口腔の粘膜に生じる炎症の総称であるが,歯や義歯などが刺激となることも多いため,口腔の観察が重要である.
・特に高齢者では,口腔清掃不良や口腔乾燥など影響を及ぼす要因が増加する.
・口内炎の治療は原因の除去,含嗽薬や口腔用軟膏の使用が基本となるが,2週間以上改善しない,または増悪する場合には専門医の受診を勧める.
◆病態と診断
・口内炎を主訴に受診する患者では,アフタ性口内炎のほかに,ウイルスや真菌によるもの,口腔扁平苔癬などの粘膜疾患,白板症,紅板症などの前癌病変,口腔癌のケースも含まれる.
・まず部位と粘膜の変化(発赤,水疱,びらん,潰瘍,白斑,紅斑,丘疹,萎縮)を観察し,赤や白などの色の変化のほか,病変の広がりや可動性の低下などの機能障害,硬結の有無の確認は重要である.
・刺激となる歯や義歯,口腔習癖などがあれば,まずその刺激を排除して,含嗽,軟膏塗布を行うとともに,病態に合わせて細菌検査,血液検査,病理組織検査などを進める.
◆治療方針
Aアフタ性口内炎(再発性アフタ)
口内炎のなかで最も頻度が高く,数mmの類円形の偽膜性潰瘍で周囲に紅斑を伴う.舌,口唇,頬粘膜などに好発し接触痛を伴う.1週間ほどで瘢痕なく治癒するが,刺激物の摂取を避け口腔内を清潔に保つよう指導し,含嗽薬などを処方する.
Px処方例 下記1),2)を適宜使用する.多発性や再発性の場合には3),4)を併用する.
1)アズレンスルホン酸(アズノール薬)うがい液 1回5~7滴を約100mLの水に溶かして含嗽 1日3~4回
2)デキサメタゾン(アフタゾロン薬)口腔用軟膏 1日2~3回(朝・就寝前) 患部に塗布
3)リボフラビン酪酸エステル(ハイボン薬)錠(20mg) 1回1錠 1日1回 食後
4)半夏瀉心湯薬エキス顆粒(2.5g/包) 1回1包 1日3回 毎食前
B口腔カンジダ症
口腔粘膜にみられる白苔で,通
関連リンク
- 治療薬マニュアル2023/アズレンスルホン酸ナトリウム水和物《アズノール ハチアズレ》
- 治療薬マニュアル2023/デキサメタゾン《デキサメタゾン》
- 治療薬マニュアル2023/リボフラビン酪酸エステル《ハイボン》
- 治療薬マニュアル2023/半夏瀉心湯
- 治療薬マニュアル2023/ミコナゾール《フロリード オラビ》
- 今日の皮膚疾患治療指針 第5版/おむつ皮膚炎
- 今日の皮膚疾患治療指針 第5版/貨幣状湿疹
- 今日の皮膚疾患治療指針 第5版/乳児臀部肉芽腫
- 今日の皮膚疾患治療指針 第5版/爪囲炎
- 今日の皮膚疾患治療指針 第5版/口角炎
- 今日の皮膚疾患治療指針 第5版/再発性アフタ
- 今日の診断指針 第8版/流行性角結膜炎
- 今日の小児治療指針 第17版/口内炎,鵝口瘡,舌の疾患