ポイント
・病院と在宅医療では特に環境要因が異なる点に注意して対策を行う.
・家庭内感染が生じうる疾患に関しては,その予防についても指導する.
・COVID-19は飛沫感染予防策(目の保護を含む)および接触感染予防策を行ったうえで,換気の悪い居宅では空気感染予防策も行う.
・COVID-19を含む感染力の強い感染症を疑う場合は,ケアに関わるすべての職種に連絡し適切な予防策を講じるよう指示する.
A標準予防策
在宅医療においてもすべての患者に対して標準予防策を講じる必要がある.標準予防策とは感染症の有無にかかわらず,患者および周囲の環境に接触する前後には手指衛生を行い,血液・体液・分泌物・排泄物・患者の創傷や粘膜などからの感染のリスクがある場合は汚染される可能性がある場所を防護することである.標準予防策のみで感染経路を遮断することが困難な場合はこれに加えて感染経路別予防策を講じる.
B感染経路別予防策
主に「接触感染予防策」「飛沫感染予防策」「空気感染予防策」に分かれる.その他,明確な定義は定まっていないが「エアロゾル感染」も感染経路の1つとして考えられている.接触感染予防策では手袋・エプロンを装着し,飛沫感染予防策では患者・医療者の双方がサージカルマスクを着用する.空気感染予防策では医療者はN95マスクを着用し,患者はサージカルマスクを着用する.エアロゾル感染の予防策は一定の見解はないが,一般的に空気感染と同様にN95マスクを着用することが多い.いずれの感染経路別予防策においても標準予防策の一環としての手指衛生を怠ってはならない.また,接触・飛沫感染する疾患の場合,手指衛生を行うまでは自身の眼・鼻・口を触らないようにする.
C感染伝播の観点から特に注意すべき感染症と主な感染経路
在宅医療において特に注意すべき感染症と感染経路を以下に示す.
・COVID-19:飛沫感染,接触感染,エアロゾル