今日の診療
治療指針

Ⅲ.漢方製剤使用の一般的知識
丁 宗鐵
(日本薬科大学教授・学長)
菊谷健彦
(東戸塚記念病院・麻酔科部長)

 薬価基準薬効別分類に掲載されている漢方製剤は147処方である.

 そのほか,本来は漢方処方であるが,薬効別分類では外用薬に分類されている紫雲膏がある.この紫雲膏を上記147処方に加えると,漢方処方は148となる.


1)用量

 成人の1日の用量は,各社の添付文書に基準量が示されている.一般に疾患の急性・慢性,軽症・重症,体重,体質などによって,用量の増減が必要である.

 各漢方製剤の1回量はメーカーによってほぼ一定となっている.ただし,回収エキス量,配合生薬の性質によって若干の例外がある.特に,膠飴の配合される処方(小建中湯,大建中湯,黄耆建中湯)は量が多くなる.


2)用法

 服用は,通常1日2回ないし3回,食前ないし食間が原則であるが,場合によっては,就寝前を加えて1日4回服用してもよい.日本人の薬の服用方法としては,食前30分という形はややなじみにくく,忘れやすいため,患者によっては食後に服用したほうがよい.食前服用によって,かえって胃部膨満感,食欲低下などの胃症状が認められる場合には,食後服用に切り換えたほうがよい.

 一般に微温湯にて顆粒または細粒を服用するが,湯に溶かしたあと,服用するのもよい.

 悪心,嘔吐があるときには,冷水にて服用するほうがよい.


3)投与日数

 2002年4月から,それまであった2週間という処方日数の制限が撤廃され,長期投与が可能になった.


4)維持量と中止

 漢方薬により症状の寛解が得られたら急に中止するのではなく,漸減することが望ましい.高齢者の場合は1日量の2/3または1/3を維持量として続けるほうがよい.小児はそのまま中止しても再発はみられないことが多い.


5)使用上の注意と副作用

 本書では日本漢方生薬製剤協会の医療用製剤添付文書改訂小委員会編集による「“使用上の注意”の業界統一と自主改訂」から生薬別記載内容基準を参考した.

 副作用は主な症状,病名

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