作成グループ名
日本呼吸器学会咳嗽・喀痰の診療ガイドライン2019作成委員会.
作成時期
2019年4月12日刊行.
改訂予定の有無
数年後の改訂を予定している.
準拠したエビデンスの分類,勧告・推奨の分類など
「診断」と「治療」に関するステートメントにおいて,推奨度,エビデンスレベル,保険適用を記載した.診断ないし治療に関して,診療現場で直面する問題,質問をfrequently asked question(FAQ)という形で,そのなかでも重要なものをclinical question(CQ)としてステートメントを作成した.推奨度カテゴリーおよびエビデンスカテゴリーについては「Minds診療ガイドライン作成マニュアル2016」を参考とし,推奨度,エビデンスカテゴリーともにA~Dと設定している.
A.エビデンスカテゴリー
A(高):効果の推定値に強く確信がある
B(中):効果の推定値に中程度の確信がある
C(低):効果の推定値に対する確信は限定的である
D(とても低い):効果の推定値がほとんど確定できない
B.推奨度カテゴリー
A:「実施する」ことを推奨する
B:「実施することを」提案(条件付きで推奨)する
C:「実施しないことを」提案(条件付きで推奨)する
D:「実施しないこと」を推奨する
CQの推奨度の決定には,エビデンスカテゴリーのほか「患者の価値観の多様性」,「経済学的な視点」「実臨床での実績」も考慮し,11名以上の委員の合議のもと最終決定した.
治療に関する部分の解説
A.咳嗽の分類と原因疾患
咳嗽は持続期間により,3週間未満の急性咳嗽,3週間以上8週間未満の遷延性咳嗽,8週間以上の慢性咳嗽に分類される1,2).咳嗽の持続期間を設けることで,原因疾患がある程度推測できる.急性咳嗽の原因の多くは気道感染症で,そのほとんどがウイルス性の普通感冒である.遷延性咳嗽では感染症の頻度が減