作成グループ名
日本神経学会「てんかん診療ガイドライン」作成委員会(委員長:宇川義一).
作成時期
初版は2010年10月1日に書籍として刊行(医学書院)され,その改訂版である本ガイドラインは2018年3月15日に刊行(医学書院)された.
改訂予定の有無
今後も定期的な改訂を予定.
準拠したエビデンスの分類,勧告・推奨の分類など
てんかん診療にはてんかん専門医に限らず,多くの医師,診療科が携わっている.てんかん診療にあたる一般医の指針として2010年に「てんかん治療ガイドライン2010」が作成された.しかし,その後,新たな抗てんかん薬が複数上市され,国際抗てんかん連盟のてんかん分類も改訂されていることから,ガイドラインの改訂が望まれていた.
A.文献検索法
PubMed,The Cochrane Library,医学中央雑誌を使用して検索.
B.エビデンスレベルの分類と推奨度
「てんかん治療ガイドライン2010」ではエビデンスレベルと推奨度を記載していたが,本ガイドラインでは一部のクリニカル・クエスチョン(難治性側頭葉てんかんの外科治療と迷走神経刺激)を除き,エビデンスレベルと推奨度は示さず,専門家の総合的意見を「要約」として記載してある.
表1図に示したように本ガイドラインのクリニカル・クエスチョン(CQ)は多岐にわたっていることから,本項では成人てんかんの薬物治療,小児てんかんの薬物治療,抗てんかん薬の催奇形性に関する項目を紹介したい.
診療に関する部分の解説
国際抗てんかん連盟(ILAE)は2005年にてんかんの定義として「てんかん性発作を引き起こす持続性素因を特徴とする脳の障害」を提唱した.この定義は「24時間以上の間隔で生じた2回の非誘発性発作」が生じた場合に適応されていたが,2014年に「2回の非誘発性発作」の基準を満たさない特殊な状況にも対応できるようにてんかんの定義を