診療支援
治療

突然の頭痛―緊急検査と応急処置
headache of sudden onset:emergency examination and treatment
落合秀信
(宮崎大学教授・救急・災害医学)

治療のポイント

・生命にかかわる危険な頭痛(二次性頭痛)を見逃さない.

・雷鳴頭痛や発熱,神経症状を伴う頭痛,普段と違う強い頭痛は要注意.

・雷鳴頭痛ではくも膜下出血(SAH:sub-arachnoid hemorrhage)を念頭におき,否定できるまで決して刺激しない.

・症状よりSAHが疑われる場合は,頭部CTで異常を認めなくてもMRI検査や髄液検査で精査を行う.

・トリプタン製剤の投与で頭痛が軽減しても片頭痛と過信してはならない.

◆病態と診断

A病態

・生命にかかわる危険な二次性頭痛の多くは,頭蓋内圧亢進(頭蓋内出血,脳静脈・静脈洞閉塞症,脳腫瘍など)や炎症(髄膜炎や脳炎など),脳血管の異常〔脳動脈解離,脳血管れん縮症候群(RCVS:reversible cerebral vasoconstriction syndrome)など〕による頭痛である.

・一次性頭痛でも,片頭痛や群発頭痛は痛みが激烈であるので救急受診することがある.

B診断

・バイタルサイン,発症様式,神経症状,発熱などの随伴症状,既往歴を確認する.

雷鳴頭痛は突発ピーク型の強い頭痛が5分以上持続するもので,SAH,脳動脈解離,RCVSを考慮する.

・SAHの診断における頭部CT(第3世代MDCT)の感度・特異度は,発症6時間以内は100%であるが,24時間以内では感度が92%に低下する.よって頭部CTで異常を認めなくても症状からSAHが疑われる場合はMRI FLAIR画像や髄液検査での血性髄液やキサントクロミーの有無を確認する.SAHと診断されれば,脳血管CTや頭部MRAで動脈瘤の精査を行う.

・脳動脈解離は椎骨動脈系に生じることが多い.片側性の急な後頭部痛では考慮し,頭部CTで異常がなくてもMRI(MRA,vessel wall imaging,BPAS)で精査を行う.椎骨動脈解離は発症数時間以内にSAHや脳梗塞を生じること

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