診療支援
治療

肉眼的血尿
gross hematuria
三股浩光
(大分大学医学部附属病院・病院長)

GL血尿診断ガイドライン2023

治療のポイント

・肉眼的血尿は,赤血球が尿中に存在し混濁を伴う赤色尿が特徴であり,赤色透明の場合は血色素尿やミオグロビン尿,薬剤による着色尿であり,血尿と混同しないこと.

・外傷による肉眼的血尿は,腹部外傷では腎を,骨盤外傷では膀胱と尿道の損傷を疑って,超音波検査やCT,尿路造影を行って,損傷部位を同定する.

・止血薬にて肉眼的血尿が消失しても原疾患の検索が必要であることを,患者に十分説明する.

◆病態と診断

A病態

・肉眼的血尿の原因は,小児や若年成人を除いて泌尿器科疾患であることが多く,特に無症候性肉眼的血尿尿路悪性腫瘍を疑わせる重要な所見である.

・救急医療にて肉眼的血尿をきたすのは腹部・骨盤外傷が最も多いが,基礎疾患として尿路系腫瘍や水腎症,尿路の血管病変が存在することがあるので,注意が必要である.欧米では銃創や刺創などの開放損傷による尿路損傷や腎損傷がしばしばみられるが,本邦では交通外傷や落下損傷などの鈍的外傷が多い.小児では先天性水腎症やウィルムス腫瘍を基礎疾患として有し,軽度の外傷でも肉眼的血尿をきたすことがある.

・細菌感染やアデノウイルス感染による急性膀胱炎,抗癌剤のシクロホスファミド投与後の膀胱炎でも肉眼的血尿を生じるが,これらは頻尿や排尿痛などの膀胱炎症状を伴う.

・側腹部痛や背部痛を伴う肉眼的血尿は尿管結石を疑うが,特に七転八倒といわれる疝痛発作は尿管結石の特徴である.

B診断

・一般に1Lの尿に1mL以上の血液が混入すると混濁のある血尿として認識される.発作性血色素尿症やグリセリン浣腸後の直腸損傷では血管内溶血による血色素尿を呈し,混濁を伴わない赤色透明尿が特徴で,筋挫滅症候群によるミオグロビン尿も同様に赤色透明である.最終的には顕微鏡の強拡大にて尿沈渣中の赤血球の有無にて鑑別する.

・肉眼的血尿に対する画像診断は,まず超音波検査が非侵襲

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