GL熱傷診療ガイドライン〔改訂第3版〕(2021)
治療のポイント
・急性期には,呼吸循環動態が不安定であり,重症度評価を行いながら初期治療を進める.
・輸液開始の遅れが熱傷性ショックを遷延させ予後に影響するため,できるだけ早く輸液を開始する.
・気道損傷(吸入損傷)の合併により,気道閉塞に陥る可能性があるとともに,大量の初期輸液により気道閉塞に陥る可能性も常に念頭におく.
・低体温に陥りやすいため,保温に努める.
◆病態と診断
A病態
・初期には,炎症性メディエーター放出により全身の血管透過性が亢進し,血漿成分が血管内より漏出する.その結果,循環血液量減少性ショックの病態となる.
・火炎,高温の煙や水蒸気,有毒ガスなどによる気道損傷では,重度の呼吸障害や意識障害を生じる(一酸化炭素中毒,シアン中毒の合併にも注意を要する).
B診断
・受傷機転:火炎,高温液体,接触(高温固体),爆発,化学物質,電撃などの原因を