ニュートピックス
・COVID-19パンデミック後の状況において,十分な感染防御のもとに救命処置を実地することが望ましいが,感染防御と蘇生行為による感染のリスクについてのエビデンスは限定的である.
・胸骨圧迫・電気ショック・CPRはエアロゾルを発生する可能性があるため,医療従事者はこれに対応した感染防護具(PPE:personal protective equipment)の装着が推奨される.
治療のポイント
・心停止発生後,すみやかに良質な蘇生を統制されたチームで開始することが重要である.すべての医療従事者は,個々の処置に習熟しておらずとも全体の流れを熟知している必要がある(図).
・①早期に胸骨圧迫を開始すること,②有効な胸骨圧迫を継続すること,③電気ショック適応の心電図波形に対して早期に電気ショックを行うこと,が治療の中心である.
・脳虚血時間を短くするために,心停止かどうかを迷うような状況でも胸骨圧迫を開始することが推奨されている.
・COVID-19の診断がついている,もしくは罹患の疑いが強い場合は,N95マスクを含めたすべてのPPEを装着してから胸骨圧迫を開始する.装着に時間がかかる場合は,自動体外式除細動器(AED:automated external defibrillator)の使用を先行する.
・すべてのPPEを装着したチームが到着したら,初期対応者はすみやかに交代し手洗いと手指衛生を行う.
◆病態と診断
・適切な胸骨圧迫と早期の電気ショックの実施が,心停止患者の救命率や社会復帰率に直結する.心停止をすみやかに把握し,即座に緊急通報(119番通報や院内の蘇生チームへの連絡)すること,確実なBLSを早期に実施することが重要である.
・心停止時の心電図波形は心室細動(VF:ventricular fibrillation),無脈性心室頻拍(VT:ventricular tachy