診療支援
治療

緊急ペーシング [■心肺蘇生・循環系の緊急処置]
☆☆
emergency cardiac pacing
福島英賢
(奈良県立医科大学教授・救急医学)

A背景

 心拍数60回/分以下は徐脈と定義される.背景疾患としては,高K血症や虚血性心疾患,また急性薬物中毒や低体温などの外因が挙げられる.このうち「不安定な」徐脈に対して救急対応が必要となる.「不安定な」徐脈とは,低血圧や意識障害,胸痛などの症状を伴う徐脈である.徐脈に対してはアトロピンやアドレナリンといった薬剤投与がまず行われるが,これらに不応の場合,静脈路がまだ確保されていない場合,また心電図所見よりⅡ型の2度房室ブロック,あるいは3度房室ブロックと診断された場合は緊急ペーシングが必要となる.緊急ペーシングには経皮的および経静脈的ペーシングがあるが,救急処置としては経皮的ペーシングが最もすみやかに導入できるため第1選択となる.

B方法

 経皮ペーシング機能のついた除細動器を用いることが一般的であるが,自施設の救急外来に設置されている除細動器に経皮ペーシング機能があるか,確認が必要である.ま

関連リンク

この記事は医学書院IDユーザー(会員)限定です。登録すると続きをお読みいただけます。

ログイン
icon up
あなたは医療従事者ですか?