◆病態と診断
・上気道および下気道において,異物は物理的な閉鎖をきたすことに加えて,組織の損傷や炎症を惹起しうる.
・気道異物は高齢者と小児に多く,特に生後6か月から3歳程度の乳幼児は異物を口に入れやすいことから,喉頭や下気道への異物誤嚥,誤飲をきたしやすいとされている.
・小児においてはピーナッツや豆などの食物と,ビーズなどの玩具やボールペンのキャップ,歯牙が,成人では歯科用金属が異物の頻度としては高い.
・上気道閉塞では,突然の呼吸困難と喘鳴(stridor),嗄声が観察される.また,吸気延長,頸部と肩の副呼吸筋を用いた強い吸気努力,吸気時の過剰な胸腔内陰圧による胸骨上縁や鎖骨上窩,肋間の陥凹,胸部と腹部が逆位相に動くシーソー呼吸などが特徴である.
・下気道に異物が存在する場合,呼吸困難,咳嗽,異物周囲を中心とした呼気時喘鳴(wheeze)などが観察され,咳や血痰のみを呈することも多い.特に小児