治療のポイント
・まず何を,何時間前に,どの程度服用したかを可能な限り確認する.
・上記が確認できない場合,合併症の可能性が高くなるため,ルーチンで行うべきではない.
・胃洗浄法は,中毒症状を軽減するために行う.
・服用後1時間以内であれば効果があるかもしれない.
・胃管挿入に際して,誤挿入や嘔吐に注意する.
・チューブを長期留置しておく場合,チューブの先端が胃大弯側の粘膜に突き刺さらないように注意する.
A準備
胃洗浄用チューブ(できるだけ大口径のものを用意する),医療用潤滑ゼリー,カテーテルチップ(50mL),ピッチャー,体温程度に温めた水道水あるいは生理食塩液(必要量),ドレナージバッグ.
B手技
益が害を上回ることを十分検討したうえで行う.胃洗浄や活性炭を投与するために気管挿管を行うべきではない.
1.体位
可能な限り15度程度の頭低位にする.胃より先に流れていかないようにするためと嘔吐時に誤嚥しないようにするために,左下側臥位にする.
2.挿入
解剖学的に左鼻孔を第1選択とするが,挿入のしやすさについては個人差がある.また頭蓋底骨折が疑われる場合は経口挿入とする.指示動作が可能,あるいは嚥下反射があれば,嚥下に合わせてチューブを進める.55cm程度進めば胃内に到達したと考え,カテーテルチップで空気を送気し心窩部で胃泡音を聴診して確認する.X線撮影でもチューブの位置を確認する.チューブを固定して胃洗浄を開始する.
C洗浄
上述の通り,チューブが胃内に挿入されたことを確認したら洗浄を開始する.基本的には,体温と同じくらいに温めた水道水あるいは生理食塩液を200mL程度注入したら注入分を回収するという作業を繰り返す.回収液に混入物がある程度含まれないようになるまで洗浄する.洗浄が終われば,必要がなければすみやかにチューブを抜去する.追加処置として活性炭(薬用炭50g)やクエン酸マグネシウム(