治療のポイント
・処置時には,必ず標準予防策を実施する.
・局所所見にとらわれず,全身の評価を優先する.
・最も求められることは,止血と清浄化,感染予防である.
・創閉鎖は,モノフィラメントナイロン糸を用いた結節縫合を基本とする.
・処置後は,創部の湿潤環境を保持するため適切な創傷被覆材を使用する.
・動物咬傷は,感染の可能性がきわめて高い.清浄化に努め,一次縫合閉鎖せず十分なドレナージが期待できるように処置し,予防的抗菌薬投与を行う.
◆病態と診断
A病態
・「創」は皮膚組織の連続性が断たれた損傷を意味し,「傷」は皮膚の破綻を伴わない真皮層までの損傷を示す.皮膚開放創は「創」にほかならず,切創,挫創,挫滅創,刺創,割創,咬創,などの創傷形態を含むcommon diseaseといえる.
B診断
1.全身状態の評価
・“血まみれ”や顔面の皮膚開放創は,目を奪われがちとなるが,直ちに処置に入るべきではない.気道・呼吸