治療のポイント
・四肢のコンパートメント症候群は,臨床所見と筋区画内圧により診断する.
・筋肉の壊死や神経の障害が完成する前に早期に減張切開を行う必要がある.
・減張切開後の創部は,開放創として湿潤環境に管理し,筋肉の腫脹が軽減してから創を閉鎖する.
◆病態と診断
A病態
・四肢のコンパートメント症候群では,骨間膜,筋膜や骨で囲まれた筋区画の内圧が上昇して筋肉,血管や神経が圧迫されることによって障害が生じる.
・原因として骨折,血管損傷,筋損傷や長時間の局所圧迫,包帯やギプス固定が多いが,砕石位など手術体位,抗凝固薬使用,熱傷,蛇咬傷など外傷以外の要因でも起こりうる.
・好発部位は下腿,前腕であるが,筋膜に囲まれた部分であればどこでも生じうる.
・診断の遅れにより,ミオグロビン尿症から急性腎障害を合併し生命に危険が及ぶこともある.
B診断
・症状として5P;pain(疼痛),pallor(蒼白),paresth