診療支援
治療

EFAST [■その他]
extended focused assessment with sonography for trauma
佐々木淳一
(慶應義塾大学教授・救急医学)

治療のポイント

・外傷初期診療におけるショックの原因検索の迅速簡易超音波検査法であるFAST(focused assessment with sonography for trauma)に,気胸の評価を加えたものがEFAST(extended FAST)である.心窩部,両側胸部,恥骨上部の6点評価による心嚢内・胸腔内・腹腔内の液体貯留(出血)の検索に加え,両側前胸部から気胸の検索を行う.

・EFASTでは,出血源の特定や実質臓器損傷の評価は行わないが,繰り返し実施して経時的推移をチェックする.

・EFAST検査は腹腔内液体貯留に高い特異性を示し,気胸,胸腔内液体貯留(血胸),心嚢液に高い感度を示す.したがって,ほとんどの救急医は不安定な患者に対してEFASTを利用して,傷病者に迅速な手術による安定化が必要か,EFASTの次にCT撮影を受けられるかを判断することになる.

A病態と評価

1)心嚢液:心窩部(胸骨剣状突起直下)から評価する.困難な場合は胸骨左縁第3,4肋間から行う.心嚢液は少量であっても急速に貯留すると,心タンポナーデの病態を呈することがある.

2)腹腔内液体貯留:右上腹部でモリソン窩,左上腹部で脾周囲,下腹部で膀胱直腸窩における腹腔内の液体貯留の有無を観察する.

3)胸腔内液体貯留:モリソン窩・脾周囲に引き続き,両側胸腔背側で下位胸部の液体貯留の有無を観察する.

4)気胸:両側前胸壁で鎖骨中線上の第2~4肋間にかけて,lung sliding,lung pulseの消失,ling pointの存在を観察する.臥位X線では同定が困難な少量の気胸も検出可能である.

B実施手順

 観察する順番は病態により変更可能である().



文献

1) 日本外傷学会外傷初期診療ガイドライン改訂第6版編集委員会 : 改訂第6版 外傷初期診療ガイドラインJATEC. へるす出版, 2017

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