診療支援
治療

中毒性疾患 最近の動向
上條吉人
(埼玉医科大学教授・臨床中毒学)

◆病態と診断

A学会での主なトピックス

 2020年に設立された日本臨床・分析中毒学会(英名:Japanese Society of Clinical & Analytical Toxicology,略称:J's-CAT)(代表理事:上條吉人)は,2022年4月21日付で一般社団法人化された.2022年9月2日に国際医療福祉大学医学部救急医学の千葉拓世先生および同医学部法医学の矢島大介先生を大会長として第5回学術集会がweb開催されたが,一般演題に加えて特別企画として,広島大学大学院医系科学研究科法医学の奈女良昭先生による「血液中の薬物濃度を求めるまでとその意味するところ」,薬師寺慈恵病院の薬師寺泰匡先生による「分析のない中毒診療の限界」というテーマの教育講演が開催された.

 また,2023年3月11日に第6回学術集会が筆者を大会長としてハイブリッド開催されたが,一般演題に加えて特別企画として,札幌医科大学医学部神経精神医学講座の河西千秋先生による「自殺問題と自殺予防医療の現在」というテーマの特別講演,大阪医科薬科大学医学部法医学教室の片木宗弘先生による「科学捜査と質量分析―科捜研での37年を振り返って―」,警視庁捜査支援分析センターの大下敏隆先生による「警視庁科学捜査研究所での経験から―地下鉄サリン事件における対応―」というテーマの教育講演が開催された.また,近年社会問題となっている市販薬中毒に関しては,国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所薬物依存研究部の嶋根卓也先生による「市販薬の乱用・依存の現状と対策」というテーマの基調講演に引き続き,厚生労働省科学研究費補助金による「救急医療施設に搬送となった急性市販薬中毒の疫学的および臨床的特徴に関する調査中間報告2022」,および「救急医療施設に搬送となった急性カフェイン中毒の疫学的・臨床学的特徴に関する追跡調査」の2つの多施

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