診療支援
治療

感染症法の概要について
outline of infectious disease control law,Japan
迎  寛
(長崎大学大学院教授・呼吸器内科学分野(第2内科))

A概要

 「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」(以下,感染症法)は,従来の伝染病予防法,性病予防法および後天性免疫不全症候群の予防に関する法律を廃止・統合し制定され,1999年4月に施行された.その目的は「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関し必要な措置を定めることにより,感染症の発生を予防し,及びそのまん延の防止を図り,もって公衆衛生の向上及び増進を図ること」であり,感染症を取り巻く環境の変化に対応し適宜改正されている.

 現在,感染症法では感染力や感染した場合の重篤性に基づき,感染症を1~5類感染症(),新型インフルエンザ等感染症,指定感染症,新感染症に分類している.届出基準に従い対象疾患を診断した医師には届出が求められ,1~4類感染症,新型インフルエンザ等感染症,指定感染症,新感染症は診断後直ちに,5類感染症のうち全数把握対象疾患については7日以内に(侵襲性髄膜炎菌感染症,風しん,麻しんは直ちに)届出なければならない.5類感染症のうち定点把握対象疾患は,罹患患者数が比較的多く,流行を繰り返す疾患群であり,指定された医療機関に週単位または月単位の報告が求められる.2018年には新たに急性弛緩性麻痺(急性灰白髄炎を除く),百日咳が5類感染症の全数把握対象疾患に追加され,また全国的な流行から,風しんが,診断後7日以内の届出から診断後直ちに届出へ改正された.2019年4月からは原因不明の重症感染症の発生動向を早期に把握することを目的に,疑似症定点の運用が開始された.

 新型インフルエンザ等感染症は,全国的かつ急速なまん延により国民の生命および健康に重大な影響を与えるおそれがある,新型インフルエンザおよび再興型インフルエンザであり,新型インフルエンザ対策を従来の感染症類型のなかで行うことが困難であることから設定された.

 指定感染症とは,1~3類および新型

関連リンク

この記事は医学書院IDユーザー(会員)限定です。登録すると続きをお読みいただけます。

ログイン
icon up
あなたは医療従事者ですか?