診療支援
治療

ニューモシスチス肺炎 [■その他]
Pneumocystis pneumonia(PCP)
宮下修行
(関西医科大学教授・呼吸器感染症・アレルギー科)

◆病態と診断

A病態

・ニューモシスチス肺炎はPneumocystis jiroveciiによる日和見感染症である.Pneumocystis属は原虫類に分類されていたが,リボソームRNAの遺伝子配列や細胞壁の構成成分などから,現在では真菌類に分類されている.

・労作時の呼吸困難,乾性咳嗽,発熱が主症状で,肺野の聴診所見は正常であることが多い.呼吸困難は亜急性に進行するため,低酸素の割に自覚症状に乏しいことが多い.

B診断

・診断は,気道検体中の菌体をGrocott染色などで証明できれば確定となる.

・胸部CTでは,両側のびまん性すりガラス陰影で,経過とともに嚢胞性病変を生じることがある.

・画像所見に加え,β-D-グルカンの上昇を認めた場合,本疾患を積極的に疑う.

◆治療方針

A治療

 第1選択薬はST合剤であり,治療効果,費用対効果からアレルギーなどの使用困難症例を除いてST合剤で治療を開始すべきである.重症例を除き,第2選択薬はアトバコンである.忍容性は高いが,抗菌活性はST合剤に劣ることから重症例では推奨されない.重症例における第2選択薬はペンタミジン点滴であるが,副作用発現率が高く減量を考慮する.

1.経口投与可能な場合

Px処方例 下記のいずれかを用いる.

1)スルファメトキサゾール・トリメトプリム(バクタ)配合錠 1回3~4錠 1日3回(体重・腎機能に応じ調整)

2)アトバコン(サムチレール)内用懸濁液 1回5mL(アトバコンとして750mg) 1日2回 食後(軽症~中等症でST合剤投与困難な場合に用いる)

2.経口投与困難な場合

Px処方例 下記のいずれかを用いる.

1)スルファメトキサゾール・トリメトプリム(バクトラミン)注(5mL/A) 1回3~4A 1日3回(体重・腎機能に応じ調整)

2)ペンタミジン(ベナンバックス)注 1回4mg/kg 1日1回 1~2時間で点滴静注

3.補助療法

関連リンク

この記事は医学書院IDユーザー(会員)限定です。登録すると続きをお読みいただけます。

ログイン
icon up
あなたは医療従事者ですか?