治療のポイント
・酸素吸入により吸入気酸素濃度(FiO2)を上げ,肺胞気酸素分圧,動脈血酸素分圧(PaO2)を上昇させ,低酸素血症を改善・予防するのが目的である.また,呼吸仕事量の軽減,肺高血圧症・右心不全の予防・改善効果も期待できる.
・ハイフローセラピーの普及によって,酸素療法に新たな選択肢が増えた.
酸素療法とは,空気中より高い濃度の酸素を投与することである.生体内では,酸素は生命維持に必要なエネルギー代謝に利用されており,欠乏すると生命維持が困難になる.したがって,酸素は常に取り込み・輸送して組織に届ける必要があり,呼吸器・循環器系の障害により組織が低酸素状態に陥った場合は,酸素療法が必要になる.
◆病態と診断
A急性期
・急性低酸素血症に対する酸素療法適応の目安は,一般にPaO2:60mmHg以下,SpO2:90%以下であるが,呼吸不全徴候がある症例の場合,PaO2:60mmHg以上,Sp