診療支援
治療

非侵襲的陽圧換気療法
non-invasive positive pressure ventilation(NPPV)
武知由佳子
(愛友会いきいきクリニック・院長(神奈川))

GLNPPV(非侵襲的陽圧換気療法)ガイドライン 改訂第2版(2015)

ニュートピックス

・COPDの呼吸困難感の最大の要因は,肺過膨張である.内因性PEEP(positive end-expiratory pressure)へのcounter PEEP(EPAP:expiratory positive airway pressure:呼気圧)で,肺過膨張を軽減でき,呼吸困難感が減り,身体活動性が改善し,維持できる.

治療のポイント

・弱い設定が安楽なわけではない.弱い設定では,十分に呼吸筋を休息させることができず,呼吸筋の線維化や麻痺の進行を遅らせることができない.

・神経筋疾患では,NPPV導入とともに,排痰補助装置の導入も必要である.

・NPPV導入後,夜間睡眠中は昼間の呼吸状態と異なるため,睡眠時のログデータで治療評価する.

◆病態と診断

A病態と導入の基準

1.まず酸素ではなく,NPPVを導入する場合

・REM睡眠期には気道抵抗の増大,呼吸筋の活動性低下で低換気となりSpO2 が低下する.酸素化能の障害が軽度なCOPD,胸郭性疾患,そして神経筋疾患では,まず非侵襲的陽圧換気療法(NPPV)を行う.

・まずREM睡眠期で呼吸不全が顕在化するため,見逃されやすい.

・そこで定期的に夜間SpO2 をモニタリングし,呼吸器疾患では夜間SpO2<90%が5分以上続くなら,神経筋疾患では夜間SpO2<92%が4回以上,または全睡眠時間の4%以上にみられるなら,またすでに,日中SpO2<94%か,PaCO2≧45Torrなら,NPPVを導入する.

・低換気を酸素で補えば,PaCO2 が貯留し,脈拍の上昇などの有害事象が生じる.適切な時期にNPPVを導入しないと,呼吸筋の疲労,線維化・萎縮,さらなる拘束性換気障害に進展し,肺高血圧症に至り,心不全症状も呈する.

2.酸素療法ののちにNPPVを導入する場合

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