診療支援
治療

冠動脈インターベンション
percutaneous coronary intervention(PCI)
上妻 謙
(帝京大学主任教授・内科(循環器内科))

GL急性冠症候群診療ガイドライン(2018年改訂版)

GL2022年JCSフォーカスアップデート版安定冠動脈疾患の診断と治療

GL2020年JCSフォーカスアップデート版冠動脈疾患患者における抗血栓療法

治療のポイント

・経皮的冠動脈インターベンション(PCI)の成績は,薬剤溶出ステント(DES)の時代になっても年々向上している.

・ステント血栓症など血栓性イベントよりも,出血合併症の問題が患者の生命予後へのインパクトが大きいことがわかっている.

・ステント治療後の抗血小板療法はP2Y12 阻害薬単剤療法が基本となってきた.

・PCIによる治療の基本は,適切な薬物療法・生活指導,適切な適応,適切な病変の拡張である.

・急性冠症候群は適切にPCIで治療しないと死亡率が高いため,見落とさないことが重要である.

・安定冠動脈疾患による胸痛は,非閉塞性冠動脈疾患(INOCA:ischemic non obstructive coronary artery disease)と閉塞性冠動脈疾患の両方を念頭において適切に診断し,虚血の証明された血行再建が必要な病変に対しPCIを行うことが求められる.

◆治療方針

A冠動脈インターベンションで使用されるデバイスとその進歩

 新規の冠動脈の狭窄病変あるいは血栓による閉塞病変に対して,冠動脈の血液灌流を改善するためにカテーテルを用いて行う手技を冠動脈インターベンション(PCI)とよぶ.1977年にバルーンによる拡張で始まり,1990年代は金属の網目の構造をもった道具で拡張するステントが普及し,2000年代には金属ステントに再狭窄反応を抑制する薬剤をコーティングした薬剤溶出ステント(DES:drug eluting stent)が,さらに2010年代には血栓症の発生が大幅に減少した第2世代DESが登場し,成績が大きく進歩してきた.

 DESが登場してから20年以上経過し,

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