頻度 あまりみない
GLファブリー病診療ガイドライン2020
治療のポイント
・ファブリー病の治療として,酵素補充療法と薬理学的シャペロン療法があり,その他は対症療法となる.
・薬理学的シャペロン療法は,遺伝子変異の種類によって適応が決まるため,すべての患者に投与できるわけではない.
◆病態と診断
A病態
・ライソゾーム病の一種で,α-ガラクトシダーゼA遺伝子の異常により,酵素活性の欠損または低下により発症する遺伝性糖脂質代謝異常症である.
・遺伝形式はX染色体連鎖性であるが,女性でも約8割に症状が出現する.
・女性は個々の臓器でα-ガラクトシダーゼの不活性化される割合が異なるため,非典型的な臨床症状をとることもある.
B診断
・症状(四肢疼痛,低汗症,被角血管腫)・家族歴などの問診,心肥大,腎障害,脳血管障害などを認める場合,本疾患を疑う.
・早期の腎合併症検出に,尿中マルベリー細胞が非侵襲的で有用である.
・遺伝子変異の証明が確定診断には必須である.
◆治療方針
低下したα-ガラクトシダーゼの機能を補完する原因治療と,各臓器障害に対する対症療法を並行して行う.
A原因治療
1.酵素補充療法
α-ガラクトシダーゼを点滴で補充する治療である.本邦ではアガルシダーゼアルファとアガルシダーゼベータが使用可能であり,2018年からアガルシダーゼベータのバイオ後続品であるアガルシダーゼベータBSが使用可能となった.これらの酵素補充療法はいずれも2週間に1回の点滴が必要である.両者の有効性を直接比較した試験はなく,明確な使い分けの基準は存在しない.
Px処方例 下記のいずれかを用いる.
1)アガルシダーゼアルファ(リプレガル薬)注 1回0.2mg/kg 隔週 点滴静注
2)アガルシダーゼベータ(ファブラザイム薬)注 1回1mg/kg 隔週 点滴静注
3)アガルシダーゼ ベータBS薬注 1回1mg/kg 隔週 点滴静注