GL静脈経腸栄養ガイドライン第3版(2013)
治療のポイント
・栄養療法として腸管が使用できる場合には可能な限り経腸栄養法を行うことが望ましく,腸管が使用できない条件が14日以上持続すると想定される場合に,末梢静脈栄養法から中心静脈栄養法に移行し,高カロリー輸液投与により栄養状態の改善をはかる.
・静脈栄養法は非生理的であり,経腸栄養法が使用可かどうか定期的に検討し,可能と判断されればすみやかに併用,移行をはかる.
・中心静脈栄養法は中心静脈に留置したカテーテルを介して高カロリー輸液を投与するもので,輸液製剤は基本的にグルコース濃度が高く,高血糖を避けるために急速投与は行わず,グルコース投与速度は5mg/kg/分を上限とし一定速度での投与とする.
・カテーテル関連血流感染症(CRBSI:catheter-related bloodstream infection)が疑われた際にはすみやかに治療を開始する必要があり,中心静脈カテーテル留置患者の発熱時には常に可能性を考えておく.
◆病態と診断
A病態
・消化管からの栄養吸収がない状態を一定期間つくると,腸管粘膜の免疫機能低下から易感染状態になるため,中心静脈栄養法を継続して行う際には感染対策が重要である.
・中心静脈カテーテル留置は高度バリアプレコーションでの清潔操作下で行う.
・脂肪組織量の貯蓄がなくなってくると筋蛋白の異化が亢進,筋肉量低下(サルコペニア)が進み,さらなる身体活動低下から筋力低下がさらに進行する悪循環(フレイルサイクル)につながるため,悪循環を食い止めるために適切な栄養治療介入がきわめて重要である.
B診断
・日本静脈経腸栄養学会編集による「静脈経腸栄養ガイドライン第3版」(2013年)では,「SGA(subjective global assessment;主観的包括的栄養評価)による栄養スクリーニングをすべての患者に対して実