診療支援
治療

胃ポリープ,胃腺腫,胃粘膜下腫瘍
gastric polyp,gastric adenoma and gastric submucosal tumor
道田知樹
(大阪国際がんセンター・消化管内科主任部長)

Ⅰ.胃ポリープ

頻度 よくみる

治療のポイント

・癌合併の可能性や症状(貧血,通過障害)に応じて治療を考慮する.

・PPI投与で増大・増加する場合は,可能であればPPIを中断し経過観察を行う.

◆病態と診断

・胃ポリープは,胃に発生する上皮性,良性,隆起性病変を指し,大多数は過形成性ポリープと胃底腺ポリープである.

・通常は特徴的な内視鏡像で診断されるが,悪性腫瘍が疑われるときは生検診断が必要である.

A胃過形成性ポリープ

Helicobacter pyloriH. pylori)感染による慢性胃炎を背景に発生し,発赤調,境界明瞭な隆起で,癌化率は1~2%とされる.

・PPIによる2次的高ガストリン血症により過形成性ポリープが増大するとの報告がある.

B胃底腺ポリープ

H. pylori未感染の萎縮のない胃に多発しやすく,同色調,表面平滑,境界明瞭な隆起で,癌化はほぼない.

・PPIの長期投与で,ポリープ内の腺管の拡張程度の増強,腺管数の増加をきたし,胃底腺ポリープが増大・増加し,水腫様の内視鏡像が特徴的とされる.体部にみられる多発白色扁平隆起もPPI投与例で多くみられ,組織学的には腺窩上皮の過形成性変化が認められる.

・家族性大腸腺腫症に伴う多発胃底腺ポリープは癌・腺腫を合併することがあり,注意を要する.

◆治療方針

A胃過形成性ポリープ

‍ H. pylori感染があれば,除菌療法によって約80%でポリープの縮小や消失が期待される.増大傾向や貧血進行などを伴う場合は.内視鏡的切除を検討する.

B胃底腺ポリープ

 悪性化のリスクはほとんどなく,切除の必要はない.

Ⅱ.胃腺腫

頻度 ときどきみる

治療のポイント

・一般に内視鏡生検Group 3病変の約30%が最終的に癌と診断されるなか,担癌の可能性を念頭に,診断的治療も含め,内視鏡治療が考慮される.

◆病態と診断

H. pylori感染萎縮性胃炎を背景に発生し,白

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