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GL便通異常症診療ガイドライン2023―慢性便秘症
治療のポイント
・便秘という患者からの訴えにはさまざまな要因と病態が含まれるため,丁寧な問診を行い,便秘の内容と状況を把握し,適した対応および薬剤を選択する.
・まずは食習慣と生活の改善を指導し,効果がない場合は薬物療法に移行する.
・近年,多数の新規薬剤が開発されており,その特徴を理解して使い分けや併用を行う.
・刺激性下剤は耐性の問題があり,定期的な継続処方よりはレスキュー(頓服)として用いるほうが望ましい.
・症状により投与量の増減可能な薬剤が多く,患者自身で調節が可能である.
◆病態と診断
A病態
・便秘の病態は客観的な排便回数,便の硬さ,主観的な残便感,排便困難感などさまざまな要因が絡んでいるうえに,「患者の訴える便秘」と「診療医の便秘」では病態に乖離が発生することがある.
・有病率:厚生労働省の国民生活基礎調査(2019年度)では男性が2.5%,女性4.4%とされており,若年者では女性が,高齢者では男性が多くなると報告されているが,実臨床ではもっと頻度が高い印象である.
・便秘は症状に応じて学会ごとにさまざまな定義が存在する.「便通異常症診療ガイドライン2023―慢性便秘症」では,「本来排泄すべき糞便が大腸内に滞ることによる兎糞状便・硬便,排便回数の減少や,糞便を快適に排泄できないことによる過度な怒責,残便感,直腸肛門の閉塞感,排便困難感を認める状態」と定義されている.
・「器質性便秘」と「機能性便秘」に分類される.器質性便秘には狭窄を伴う腫瘍・炎症・瘢痕などが要因になるもの,狭窄を伴わない(非狭窄性)巨大結腸症や直腸瘤などが要因になるものがある.機能性便秘は排便回数減少型(代謝内分泌疾患,オピオイドなどによる薬剤性,便秘型過敏性腸症候群など)と排便困難型(腹圧低下,直腸収縮力低下)に分けられるが,オーバーラップしている
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