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治療のポイント
・すみやかに原因疾患を特定し,原因に対する治療を検討する.
・緊急を要する疾患を鑑別し,必要なら早急に専門医にコンサルトする.
◆病態と診断
・悪心は上腹部から前胸部の不快感で主観的な感覚であり,嘔吐は胃・十二指腸などの内容物を逆流させ口腔内から外に出そうとする現象である.中枢性,末梢性に分けて考える.
・中枢性:悪心,嘔吐に関連する中枢は延髄外側網様体と,第4脳室底の化学受容体である.この中枢部に何らかの刺激があれば発症する.原因としては脳圧亢進(脳血管障害,脳炎など),化学受容体を刺激する薬剤などがある.
・末梢性:内臓からの刺激が自律神経を介して中枢に伝達され発症する.原因としては消化器疾患,循環器疾患(心筋梗塞など),前庭障害(メニエール病など),代謝疾患(ケトアシドーシスなど)などがある.
◆治療方針
原因疾患を特定することが重要であり,中枢神経系疾患や重篤なケトアシドーシスなどは緊急性が高いことが多いため,全身状態を安定させ,すみやかに原因疾患の適切な処置を開始する.嘔吐が高度な場合は,誤嚥しないように気道を確保して,脱水,電解質異常などの補正などが必要である.これらの全身管理,原因疾患の検索/治療と並行して制吐薬,消化管運動改善薬などを対症療法として用いる.
1.内服可能な場合
Px処方例 下記のいずれかを用いる.
1)メトクロプラミド(プリンペラン薬)錠(5mg) 1回1~2錠 1日3回 毎食前
2)ドンペリドン(ナウゼリン薬)錠(5・10mg) 1回1錠 1日3回 毎食前
3)モサプリド(ガスモチン薬)錠(5mg) 1回1錠 1日3回 毎食後
4)イトプリド(ガナトン薬)錠(50mg) 1回1錠 1日3回 毎食前
5)アコチアミド(アコファイド薬)錠(100mg) 1回1錠 1日3回 毎食前保外
これらの薬剤には消化管運動改善作用があり,薬剤により適応症