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治療

C型慢性肝炎,肝硬変:抗ウイルス療法
chronic hepatitis C,liver cirrhosis(antiviral therapy)
瀬崎ひとみ
(虎の門病院・肝臓内科医長(東京))

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GLC型肝炎治療ガイドライン(第8.2版)(2023)

ニュートピックス

・2022年6月に小児(3歳以上12歳未満)に対するグレカプレビル・ピブレンタスビル配合顆粒小児用が製造販売承認および適応追加承認され,これまでグレカプレビル・ピブレンタスビル配合錠による治療は12歳以上とされていたが,12歳未満の小児に対しても治療可能となった.

・ソホスブビル・ベルパタスビル配合錠は前治療歴を有するC型慢性肝炎・代償性肝硬変を治療対象としていたが,2022年8月に適応拡大され,初回治療例でも治療が可能となった.

治療のポイント

・C型肝炎治療の目標は,C型肝炎ウイルスの持続感染によって引き起こされる肝硬変への進展,肝硬変合併症,肝発癌を抑制することである.

・抗ウイルス治療を行い,ウイルスの排除を目指す.

・ウイルスが排除されると肝発癌のリスクは低減されるものの,完全には抑制されないため,ウイルス排除後も肝癌スクリーニング検査を含めたフォローアップを継続する必要がある.

・抗ウイルス療法が不可能な症例には,肝庇護療法を行う.

◆病態と診断

A病態

・C型肝炎ウイルスに感染すると,約30%の症例では急性肝炎発症ののちウイルスが排除されるが,約70%の症例ではウイルスの感染が持続し,慢性肝炎へと移行する.

・慢性肝炎では,肝炎が持続することにより肝線維化が進展し,10~30年で肝硬変となる.

・肝臓の線維化が進行するほど,また年齢が高くなるほど肝癌を発症するリスクが高くなる.

・肝硬変の進行により,肝硬変合併症(食道静脈瘤,腹水,肝性脳症,黄疸,出血傾向など)を発症し,非代償性肝硬変へ至る可能性がある.

B診断

・血液中のHCV抗体を測定する.HCV抗体が陽性の場合はHCVの持続感染か,既往感染のいずれかである.この鑑別のためには血液中のHCV-RNAを測定し,HCV-RNAが陽性であれば持続感染と診断

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