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治療

アルコール性肝障害(アルコール関連肝疾患)
alcoholic liver disease(alcohol-related liver diseases)(ALD)
白石光一
(東海大学教授・消化器内科学)

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ニュートピックス

・“Alcoholic”はアルコール依存症への偏見となるので,アルコール関連肝疾患の呼称が推奨される.

・慢性肝疾患の急性増悪(ACLF:acute-on-chronic liver failure)の多くでアルコールが関与している.

・早期から飲酒指導を行い,肝障害および依存症の重症化を抑制することが重要.

◆病態と診断

A病態

・純エタノール60g/日以上の慢性飲酒(5年以上)が主因の肝障害.女性やフラッシャーの2型アルデヒド脱水素酵素欠損者は純エタノール40g/日以上での肝障害.

・アルコール代謝物アセトアルデヒドによるミトコンドリアや微小管の傷害,エンドトキシン,活性酸素,炎症性サイトカインによるアポトーシス,肝線維化により病態が進行する.

・脂肪肝,肝線維症,肝硬変,肝炎へ進展し,肝癌の発症リスクとなる.

・非アルコール性脂肪性肝疾患と,ALDと,そのあいだの飲酒量(男性:純エタノール30~59g/日,女性:純エタノール20~59g/日)の脂肪肝疾患は,近年MAFLD(metabolic dysfunction-associated fatty liver disease)として肥満,耐糖能異常,メタボリックシンドロームなどのオーバーラップ疾患群と考えられている.

B診断

・AST>ALT,γ-GTP高値,平均赤血球容積(MCV)増大,尿酸高値,中性脂肪高値,好中球増多,T-Bil高値,PT活性低下や貧血を確認.

・肝炎ウイルス,自己抗体,甲状腺ホルモン異常のチェックを除外する.

・腹部超音波,CTでは肝腫大,脂肪蓄積,肝硬変では肝萎縮,側副血行や脾腫を認める.エコーやMRIによる肝硬度測定,線維化マーカーの結果を参考にするが,病型最終診断は肝生検である.

・内視鏡検査で食道,胃静脈瘤,食道癌をチェックする.

・癌のスクリーニングが重要.口腔,喉頭,肝臓,膵臓,

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