HBV，HCVキャリアの指導，管理および院内感染対策事業，再活性化の対策

management for hepatitis B virus（HBV），hepatitis C virus（HCV）and strategy for hospital infection and reactivation of HBV

馬渡誠一

（鹿児島大学大学院・消化器疾患・生活習慣病学講師）

AHBVキャリアの指導，管理

1．病態と診断

　一般にHBVキャリアはHBs抗原持続陽性者と定義される．出産時や乳幼児期にHBVに感染すると，多くは持続感染となり，ALT正常かつHBe抗原陽性の無症候性キャリアとなる．そのうち約9割は若年期に免疫応答により非活動性キャリアとなり，年率約1％でHBs抗原が陰性化し，既往感染となる．約1割は慢性肝炎の状態が続き，年率約2％で肝硬変へ移行し，肝細胞癌，肝不全に進展する．一方，成人期にHBVに感染すると，感染後早期に免疫応答が起こり，急性肝炎後にウイルスが排除され肝炎が鎮静化し，既往感染となる．HBV遺伝子型A型に感染すると肝炎が遷延化し，慢性化しやすい．

2．キャリアの指導・管理方針

　慢性肝炎，肝硬変に対しては抗ウイルス治療を行うが，無症候性キャリアおよび非活動性キャリアは治療適応がない．

　無症候性キャリアでは，3～6か月ごとにHBV DNA，HBe抗

初出:今日の治療指針2024年版 発行:2024年1月

収載:医学書院 医療情報サービス（2024年11月7日　掲-ID：c24_05343-00_a008z0032）