◆病態と診断
Aフェロトーシスと腎線維化
腎線維化は末期腎不全進展におけるfinal common pathwayの一角を担っており,その病態解明が進んでいる.近年,核形態の変化,DNA断片化,およびcaspase-3の活性化を伴わない,エラスチンによって誘導される新しい形態の細胞死が発見された.この細胞死は,caspase阻害薬によって抑制されず,鉄キレート剤によって阻害され,フェロトーシス(ferroptosis)と名付けられた.脂質過酸化による膜損傷を特徴とし,鉄依存性に細胞壊死を引き起こすことが知られている.フェロトーシスは,オートファジーやピロトーシス,およびアポトーシスとは異なり,形態学的には正常な細胞核を示し,収縮したミトコンドリア,凝縮したミトコンドリア膜,減少または消失したミトコンドリアクリステ,損傷したミトコンドリア膜がみられる.フェロトーシスの腎線維症における役割につい