ニュートピックス
・末期腎不全に対する腎代替療法には腎移植と透析療法(血液透析と腹膜透析)がある.年間約40,000例の患者が腎代替療法導入となっているが,わが国の腎移植は年間約1,700例であり,多くの末期腎不全患者は透析療法を継続する必要がある.腎代替療法の選択においては協働意思決定(SDM)という概念が広がり,医療者と患者および家族が患者背景や患者の価値観を含め情報を共有し,共同して治療法の選択を決定することが勧められている.
・新規透析導入患者の原疾患で最も多いのは糖尿病性腎症で40.2%,次いで腎硬化症の18.2%,慢性糸球体腎炎の14.2%である.2019年に腎硬化症が慢性糸球体腎炎に代わり第2位となり,腎硬化症の持続的な増加を認め,その差はさらに広がっている.糖尿病性腎症は1998年に慢性糸球体腎炎に代わり原疾患第1位となり,一貫して増加していたが,近年は腎硬化症の増加により,割合については緩やかに減少傾向に転じている(図1図).
治療のポイント
〔慢性腎不全(末期腎不全)に対する血液浄化法〕
・血液透析(HD):半透膜である透析膜を介して,老廃物や水分を除去する方法で,通常は1回4時間,週3回で維持透析を行う.
・腹膜透析(PD):患者自身の腹膜を介して老廃物や水分を除去する.HDとは異なり,長時間で緩徐に体液量を調整する在宅医療.
〔急性腎障害(AKI)に対する血液浄化法〕
・持続的血液透析ろ過(CHDF):ヘモフィルタ,血液回路などを小型化し,体外循環量を減じ持続で血液透析ろ過を行う.血行動態が不安定で,通常のHDが困難な重症症例に用いられる.
(血漿交換)
・血漿中の病因物質の除去を目的としている.単純血漿交換,二重ろ過血漿交換法,血漿吸着などの方法がある.
◆病態と診断
A慢性腎不全(末期腎不全)
・非可逆的な腎障害により腎代替療法が必要となる.臨床症状,腎機能(