GLC型肝炎治療ガイドライン(第8.2版)(2023)
治療のポイント
・多くの薬剤は肝臓での代謝や腎臓での排泄を受けるため,肝機能障害や腎機能障害の併存下では,薬剤による有害事象が生じやすく,注意が必要である.
・肝炎ウイルスに伴う腎症には,抗ウイルス療法が基本となる.
・肝腎症候群の治療の基本は,アルブミン製剤投与による有効循環血液量の確保や,血管収縮作動薬投与である.また,肝移植が有用な場合もある.
・胆汁性腎症では,高ビリルビン血症を伴う急性腎障害(AKI)を呈し,尿細管内に胆汁を含んだ円柱がみられる.
Ⅰ.ウイルス肝炎に伴う腎障害:肝炎ウイルス関連腎症
◆病態と診断
・肝炎ウイルス関連腎症は,主にHBVとHCVによる腎炎である.
・B型肝炎ウイルス関連腎炎は,膜性腎症の頻度が最も高く,HBV関連の抗原が免疫複合体を形成し糸球体基底膜に沈着して発症する.膜性増殖性糸球体腎炎や微小変化型ネフローゼ症候群を呈することもある.
・C型肝炎ウイルス関連腎炎は,クリオグロブリン血症を伴うⅠ型の膜性増殖性糸球体腎炎像を呈することが多い.クリオグロブリン陽性,低補体血症,リウマチ因子陽性などを認める.クリオグロブリンによる腎外病変(血管炎,関節炎,末梢神経障害など)を伴うこともある.
◆治療方針
AB型肝炎ウイルス関連腎炎
治療はB型肝炎ウイルス治療が第1であり,核酸アナログ製剤やペグインターフェロン(Peg-IFN)単独治療を行う.若年者や挙児希望者などはPeg-IFNが第1選択となる.
Px処方例 下記のいずれかを用いる.
(核酸アナログ製剤)
(Peg-IFN)
3)ペグインターフェロンアルファ-2a(ペガシス薬)注 1回90μgま