診療支援
治療

薬剤性腎障害
drug-induced kidney injury
桒原孝成
(熊本大学大学院准教授・腎臓内科学)

頻度 ときどきみる

GL薬剤性腎障害診療ガイドライン2016

GL腎障害患者におけるヨード造影剤使用に関するガイドライン2018

GLがん薬物療法時の腎障害診療ガイドライン2022

ニュートピックス

・「がん薬物療法時の腎障害診療ガイドライン」が6年ぶりに改訂となり,2022年版が発刊された.

・メトトレキサート(MTX)を分解する遺伝子組換え酵素製剤グルカルピダーゼが,2021年9月に本邦でも「MTX・ロイコボリン救援療法によるMTX排泄遅延時の解毒」を効能・効果として承認された.

治療のポイント

・原因薬剤(被疑薬)を中止あるいは減量する.

・腎血流低下機序が考えられる際には,十分な補液を行うとともに利尿薬や降圧薬の休薬・中止を検討する.

・アレルギー・免疫学的機序を介した腎障害については,被疑薬中止後も腎障害が遷延する際にはステロイド療法を考慮する.

・癌薬物療法が原因の場合には,被疑薬休薬・中止によるリスク(腫瘍進展)/ベネフィット(腎障害改善)と治療継続によるリスク(腎障害進展による治療中断)/ベネフィット(腫瘍改善)を考慮する.

◆病態と診断

A病態

・薬剤性腎障害とは,「薬剤の投与により,新たに発症した腎障害,あるいは既存の腎障害のさらなる悪化を認める場合」と定義され,発症機序および障害部位によって分類できる.

・発症機序に基づき,①中毒性:アミノグリコシド系抗菌薬,バンコマイシン,シスプラチン,ヨード造影剤など,②アレルギー・免疫学的機序:抗菌薬,PPI,NSAIDs,金製剤,プロピルチオウラシル(PTU)など,③腎血流低下や電解質異常による間接毒性:NSAIDs,シクロスポリンなどのカルシニューリン阻害薬(CNI:calcineurin inhibitor),レニン・アンジオテンシン系(RAS:renin-angiotensin system)阻害薬,ビタミンD製剤,利尿薬など,④尿路

関連リンク

この記事は医学書院IDユーザー(会員)限定です。登録すると続きをお読みいただけます。

ログイン
icon up
あなたは医療従事者ですか?