Ⅰ.尿細管性アシドーシス
頻度 あまりみない
治療のポイント
・アシドーシス補正後も低K血症が存在する場合はK製剤を補充する.
・病型によっては成長障害や腎石灰化を合併し,治療介入で予防できる.
◆病態と診断
A病態
・尿細管性アシドーシス(RTA:renal tubular acidosis)は尿細管の酸排泄障害により,アニオン・ギャップ正常の代謝性アシドーシスを呈する.
・遺伝性RTAは遠位尿細管H+ 排泄障害(Ⅰ型),近位尿細管HCO3- 再吸収能低下(Ⅱ型),混合型(Ⅲ型),アルドステロン欠乏や作用不全による遠位尿細管K+・H+ 排泄障害(Ⅳ型)に分類される.
B診断
・下痢がなく,腎機能が保たれ,アニオン・ギャップ正常,高Cl血性代謝性アシドーシスが存在するときに疑う.
・Ⅱ型では他のイオンチャネル異常の合併(特にファンコニ症候群)を見逃さない.
・確定診断は遺伝学的検査による.
◆治療方針
アシドーシス補正には下部処方例の1)か2)でHCO3- 22mmol/L以上を目指す.Ⅱ型は大量補充が必要である.
Px処方例 下記を症状に応じて適宜用いる.検査値に合わせ増減する.
1)クエン酸カリウム・クエン酸ナトリウム(ウラリット薬)U配合散 1回0.5~2g(製剤量として) 1日3回.配合錠2錠がU配合散1g(K含有量4.5mEq)に相当
2)炭酸水素ナトリウム薬末 1回1g(製剤量として) 1日3回(12mEq/g)
3)グルコン酸カリウム(グルコンサンK薬)細粒(4mEq/g) 1回0.8g(製剤量として) 1日3回
4)塩化カリウム薬徐放錠(600mg) 1回1~2錠 1日2回
Px使い分けのポイント
・低K血症を伴うⅠ型,Ⅱ型では,Kを含む1)を処方し,K補正がさらに必要な場合に3),4)を併用する.
!不適切処方 漫然と補充を続けることなく,定期的に血液ガスやK値を評価する.
■専門医へのコンサルト
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