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GLエビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2023
GL2015年版 日本透析医学会 慢性腎臓病患者における腎性貧血治療のガイドライン(2016)
治療のポイント
・赤血球造血刺激因子製剤(ESA)または低酸素誘導因子-プロリン水酸化酵素(HIF-PH)阻害薬を使用して,Hb値を至適範囲内に維持する.
・鉄欠乏合併例では,鉄製剤の投与を行う.
・消化管出血や骨髄異形成症候群など,Hbの低下をもたらす病態の合併に注意する.
◆病態と診断
A病態
・腎性貧血はCKDの進行に伴い,体内のHb値に対して十分なエリスロポエチン(EPO)が産生されなくなる病態である.
・ヘプシジンの増加などによる鉄利用効率の低下や尿毒症物質を介するEPO反応性の減弱,赤血球寿命の短縮など,さまざまな病態が併存する.
・貧血の合併は運動耐容能を悪化させ,患者のQOLを低下させる.CKDと心血管疾患の病態連関にも悪影響をもたらす(心腎貧血症候群)ため,適切な管理が求められる.
B診断
・CKDを背景に緩徐進行性のHb低下を認めた際,腎性貧血の可能性を念頭におく.腎性貧血の診断は貧血の原因となりうる他疾患を鑑別し,除外することで行う.
・白血球や血小板に異常がないことを確認し,平均赤血球容積(MCV)によって貧血を分類する.腎性貧血は通常正球性貧血を呈するが,小球性貧血の場合は鉄欠乏の関与を疑い,血清鉄(Fe)や総鉄結合能(TIBC),フェリチンなどを測定する.大球性貧血であればビタミンB12 や葉酸を測定する.網赤血球は低値をとることが多い.
・血中EPO濃度は通常基準範囲内であり,診断に必須でない.これは腎性貧血が「Hb値が低い割にはそれに相応するEPOの上昇がない」という病態であるためである.
◆治療方針
Hbの低下が複数回の検査で確認され,臨床的に腎性貧血と診断された場合,治療を開始する.成人の保存期CKD患者で