頻度 あまりみない
GL腹膜透析ガイドライン2019
治療のポイント
・PD関連腹膜炎:適切なバッグ交換の指導が重要である.発症時には腹膜透析排液から培養検査を提出し,早期診断・早期治療を行う.
・出口部トンネル感染:出口部を清潔に保つよう指導を行う.感染徴候を認めたときには,膿を培養に提出し抗菌薬を処方する.
・限外ろ過不全:イコデキストリン透析液や利尿薬の使用で適正体重を保つことが重要である.コントロールできないときは血液透析を併用する.
・被嚢性腹膜硬化症(EPS):長期腹膜透析例で発症することが多い.薬物治療(副腎皮質ステロイド)と,外科治療が行われる.
◆病態と診断
A病態
1.PD関連腹膜炎
・腹膜炎は腹膜機能低下,カテーテル抜去や血液透析への移行,被嚢性腹膜硬化症(EPS:encapsulating peritoneal sclerosis)への進展の原因となる.
・感染経路は外因性感染と内因性感染に分けられる.真菌・緑膿菌・嫌気性菌に伴う腹膜炎は難治性でカテーテル抜去率が高い.
2.出口部トンネル感染症
・進展すれば腹膜炎につながるので早期治療が重要である.
3.限外ろ過不全
・腹膜劣化により生じ,体液過剰の原因となる.さらに残腎機能低下により尿量が減少すると,体液過剰が増悪しやすい.
4.EPS
・びまん性に肥厚した腹膜の広範な癒着により反復性にイレウスを呈する症候群である.中性化透析液への移行で発症頻度は低下している.腹膜炎発症を抑えることがEPSの予防につながる.
B診断
1.PD関連腹膜炎
・腹膜炎は①腹痛あるいは透析排液混濁,②透析排液中の白血球数が100/μL以上(最低2時間の貯留後)で多核白血球が50%以上,③透析排液培養陽性,のうち少なくとも2つを満たす場合に診断する.透析液培養は血液培養ボトルで提出することが望ましい.腹部CTが腹腔内イベント発見に有用である.