診療支援
治療

高Ca血症,低Ca血症
hypercalcemia,hypocalcemia
濱野高行
(名古屋市立大学大学院教授・腎臓内科学)

頻度 ときどきみる

ニュートピックス

・透析患者へのデノスマブ投与が重度の低Ca血症を惹起し入院や死亡を招くと,米国FDAは注意喚起を行った.

治療のポイント

・頻度の多い薬剤性によるものを見抜き,原因薬剤を中止する.

・高Ca血症では脱水に伴う急性腎障害をきたしていることが多く,まず脱水の補正をする.

◆病態と診断

A病態

・血清イオン化Ca濃度は副甲状腺,骨,腸,腎によって管理されている.しかし何らかの原因で高Ca血症になると,尿濃縮障害が生じ多尿となる.その結果脱水を介し急性腎障害が起こり,尿Ca排泄が障害され病態が完成される.

・低Ca血症は腎不全以外には,大量輸血後や血漿交換後,吸収不良症候群(下痢も含む),副甲状腺摘出後,高P血症によるものが多い.

B診断

・ゴールドスタンダードはイオン化Ca濃度であるが,補正Ca濃度で代用される.血清アルブミン(Alb)濃度が低いときは,以下の式で補正Ca濃度を計算する.極端にAlbが低いときはこの式では高く見積もるので,イオン化Caを測定する.

・補正Ca(mg/dL)=実測Ca(mg/dL)+〔4-Alb濃度(g/dL)〕(ただし,Alb<4.0)

・3つの単位があるので注意する.9.0mg/dL=4.5mEq/L=2.25mmol/L.イオン化Caは血清中の総Caの約半分で残り約半分は蛋白と結合しているため,イオン化Ca=実測Ca×0.5

・外来患者で多い高Ca血症は,薬剤性(活性型ビタミンD,Ca製剤やサプリメント,サイアザイド系利尿薬,リチウム製剤,ビタミンA),原発性副甲状腺機能亢進症である.入院患者で多いのは,悪性腫瘍と長期臥床による不動である.薬剤性でなければ尿中Ca,Crを測定し,FECa(Ca排泄率)が1%未満であれば,腎からのCa排泄低下(家族性低Ca尿症など)が原因である.1%以上なら腎は正常に反応しているので,骨(骨吸収増大)か

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