診療支援
治療

急性骨髄性白血病
acute myeloid leukemia(AML)
宮崎泰司
(長崎大学教授・原爆後障害医療研究所)

頻度 あまりみない

GL造血器腫瘍診療ガイドライン2023年版

治療のポイント

・急性骨髄性白血病(AML)治療は化学療法が基本となり,一部の例で造血幹細胞移植が実施される.

・年齢,全身状態,臓器機能など,まず患者の状態により強力治療が可能(fit)か,減弱治療が適応となるか(un-fit)を判定する.

・さらにAML細胞の染色体異常,遺伝子異常に基づいて治療が選択される.

FLT3遺伝子の縦列重複(FLT3-ITD)を有する症例ではFLT3阻害薬併用化学療法が実施される.

・急性前骨髄球性白血病(APL:acute promyelocytic leukemia)に対しては全トランス型レチノイン酸(ATRA:all-trans retinoic acid)を用いた分化誘導療法が著効する.

◆病態と診断

A病態

・AMLは造血前駆細胞にゲノム異常が蓄積して発症する造血器腫瘍で,血球の成熟能が障害されるため,骨髄,末梢血における幼若な芽球の増加を特徴とする.

・骨髄中での正常造血が障害されさまざまな程度の好中球減少,貧血,血小板減少とそれに伴う易感染性,出血がみられる.症例によってはDICを合併するが,APLではほぼ必発である.

・多数のゲノム異常が同定されるなどAMLは多様性に富む疾患だが,一部のゲノム異常は臨床像,治療反応性と関連している.ゲノム異常はAMLの最も強力な予後因子として,AML症例の治療層別化に利用されるばかりではなく,FLT3遺伝子縦列重複(FLT3-ITD)は治療標的にもなっている.

・最近では加齢に伴う造血幹細胞のゲノム異常とそれに関連したクローン性造血が高齢者で多くみられ,それがAMLなど造血器腫瘍の発症と関連することが明らかとなっている.

B診断

・骨髄あるいは末梢血中で20%以上の異常な芽球が同定されれば急性白血病とされ,芽球が骨髄系細胞であればAMLの診断となる.骨髄系の

関連リンク

この記事は医学書院IDユーザー(会員)限定です。登録すると続きをお読みいただけます。

ログイン
icon up
あなたは医療従事者ですか?