診療支援
治療

血球貪食症候群,血球貪食性リンパ組織球症
hemophagocytic syndrome(HPS),hemophagocytic lymphohistiocytosis(HLH)
古賀友紀
(九州大学大学院准教授・周産期・小児医療学)

頻度 あまりみない

GL小児 HLH 診療ガイドライン 2020 vr.1.0

ニュートピックス

・免疫病態が明らかとなり,サイトカインストームを制御する新規免疫調節療法(JAK阻害薬,抗IFNγ抗体およびIL-1受容体アンタゴニストなど)の開発が進んでいる(ただし,いずれも本邦未承認).

治療のポイント

・汎血球減少やDICの急速な進行により多臓器不全に陥る危険性があり,診断基準をすべて満たさずとも,疑わしい場合には可能な限り早期に治療を開始する.

・遺伝子異常を背景とする1次性HLHの唯一の根治治療は,同種造血細胞移植である.初期治療として副腎皮質ステロイド,エトポシド,シクロスポリンを組み合わせた治療を行う.

・感染症,悪性腫瘍,自己免疫疾患などに続発する2次性HLHの場合は,基礎疾患に基づき治療法を選択する.

◆病態と診断

A病態

・基本病態は,免疫応答細胞およびマクロファージの異常な活性化,それに伴う炎症性サイトカインの過剰産生による臓器障害である.

・1次性HLHの発症には,免疫応答細胞の細胞傷害機構にかかわる遺伝子異常〔perforin(PRF1),MUNC13-4(UNC13D),Syntaxin11(STX11),およびMUNC18-2(STXBP2)〕が同定されている.

・2次性HLHは,感染症,悪性腫瘍,自己免疫疾患,薬剤投与,造血細胞移植などに続発して発症する.

B診断

・臨床像(発熱脾腫)と検査所見(2系統の血球減少,高TG血症または低フィブリノゲン血症,NK細胞活性低値または欠損,高フェリチン血症,可溶性IL-2受容体高値),組織学的所見(骨髄,脾臓,血球貪食像)の組み合わせで診断する.

・若年者では,1次性のほか,EBV(Epstein-Barr virus)など感染症に続発する2次性が多く,成人では悪性腫瘍などの基礎疾患を合併する2次性が多い.基礎疾患に基づく先行症状に

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