診療支援
治療

1型糖尿病
type 1 diabetes mellitus
黒田暁生
(徳島大学准教授・先端酵素学研究所 糖尿病臨床・研究開発センター)

頻度 あまりみない

GL糖尿病診療ガイドライン2019

ニュートピックス

・血糖値に応じて基礎および追加インスリンを自動で増減する780Gポンプ利用により,time in range 74.5+/-6.9%が達成された.現在使用できる770Gポンプは780Gポンプにupgradeできる.

治療のポイント

・インスリン産生細胞である膵β細胞の自己免疫による破壊により,インスリン分泌が低下するため血糖値が上昇する.

・治療は血糖値が上下しないように補う基礎インスリンと食事や血糖補正のために補う追加インスリンよりなる.

・治療によってインスリンが不要になることはない.

・インスリン分泌が低下すると血糖管理が困難となる.

◆病態と診断

A病態

・自己免疫による膵β細胞の破壊によって発症する.このためインスリンが絶対的に欠乏する結果,外来性にインスリンの追加が必要である.

・1型糖尿病は若年者で多いとされているがあらゆる年代で発症する.

・1型糖尿病には発症様式から3つの型がある.最も頻度が高いのは急性発症1型糖尿病という型で,1型糖尿病の約70%である.典型的な急性発症1型糖尿病はケトアシドーシス状態で発症する.残りは劇症と緩徐進行型というタイプである.劇症1型糖尿病は以下の診断基準で示される疾患である.

B診断

・下記1)~3)のすべてを満たすものを劇症1型糖尿病と診断する.

1)糖尿病症状発現後1週間前後以内でケトーシスあるいはケトアシドーシスに陥る.

2)初診時の(随時)血糖値が288mg/dL以上であり,かつHbA1c値<8.7%である.

3)発症時の尿中Cペプチド<10μg/日,または,空腹時血清Cペプチド<0.3ng/mLかつグルカゴン負荷後(または食後2時間)血清Cペプチド<0.5ng/mLである.

・劇症1型糖尿病はすみやかにインスリン治療を行わないと命にかかわるような事態になりうる.一方で2型糖尿病の

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