診療支援
治療

2型糖尿病
type 2 diabetes mellitus
矢部大介
(岐阜大学大学院教授・糖尿病・内分泌代謝内科学)

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GL糖尿病診療ガイドライン2019

ニュートピックス

・2022年9月に日本糖尿病学会より「2型糖尿病の薬物療法のアルゴリズム」が発出され,個々の病態に加え,わが国における処方実態と併存疾患に対するエビデンスを考慮した薬剤選択が推奨されている.

治療のポイント

・初診時に口渇や多飲,多尿,体重減少を認める場合,血糖値やHbA1cに加え,尿ケトン体を評価し,インスリンの適応を判断する.病歴が長く,インスリン分泌が重度に低下した場合や,重篤な感染症や外傷など一時的なインスリン依存状態,若年の肥満男性に多い清涼飲料水ケトーシスによる一時的なインスリン依存状態にある場合,インスリンを用いた集中治療のできる医療施設に搬送する.

・インスリン非依存状態の場合には,まず健康的な食事や運動に関する教育・支援が重要であり,治療に対する準備状況や生活全般を理解したうえで本人の具体的な目標決定を支援する.

・2~3か月,適切な食事・運動を続けても血糖管理の目標を達成できない場合には,「2型糖尿病の薬物療法のアルゴリズム」を参考にコストなども考慮して本人とともに治療薬を選択する.初診時にHbA1c9.0%以上のときは,食事・運動に関する教育に加えて治療薬を開始してもよい.

・HbA1cの目標は,年齢や罹病期間,臓器障害,低血糖の危険性,サポート体制を考慮して個別に設定する.

◆病態と診断

A病態

インスリン分泌障害インスリン抵抗性があいまって慢性高血糖をきたす.

・遺伝因子と環境因子(過食,運動不足など)および加齢が加わり発症する.前者は主にインスリン分泌障害と関連し,後者は主に抵抗性と関連する.

・著明な高血糖により典型的症状(口渇,多飲,多尿,体重減少)を呈することがあるが,一般的に無症状な場合が少なくない.

・慢性的に高血糖状態が持続することで細小血管障害(神経障害,網膜症,腎症),大血管障害(脳血

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