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GL高齢者糖尿病診療ガイドライン2023
GL糖尿病診療ガイドライン2019
治療のポイント
・高齢者糖尿病の定義は65歳以上の糖尿病とする.75歳以上の高齢者と機能低下がある一部の65~74歳の糖尿病は,特に注意すべき高齢糖尿病である.
・高齢者糖尿病では低血糖を起こしやすく,またその悪影響が大きいため,低血糖に対する格段の注意が必要である.また,食後高血糖をきたしやすく,脱水,感染症を契機に高浸透圧高血糖状態になりやすい.
・脳卒中などの動脈硬化性疾患,心不全,糖尿病性腎症をきたしやすい.
・認知機能障害・認知症,フレイル,サルコペニア,ADL低下,転倒,うつ状態などの老年症候群が併存する頻度が高い.
・腎機能障害やポリファーマシーから薬剤の有害事象が出やすい.
・高齢者の身体機能,認知機能,社会・経済状況は多様であり,個別的,総合的に目標を立案する.
◆病態と診断
A病態
・加齢に伴う耐糖能低下には,インスリン分泌低下や細胞老化による細胞機能不全,体組成の変化(骨格筋量の低下,内臓脂肪の増加),身体活動量の低下によるインスリン抵抗性の増大などがある.75歳以上では,HOMA-IR(homeostasis model assessment insulin resistance)で評価したインスリン抵抗性は若い人よりも高い.
B診断
・非高齢者と同様の診断基準で診断する.
◆治療方針
高齢者糖尿病の治療目標は,非糖尿病の高齢者と変わらないQOLと寿命を達成することである.血管合併症の進行予防の視点から,食事・運動・薬物療法によって,血糖,血圧,脂質,体重を包括的に管理する.また,QOLの維持・向上のために,重症低血糖などの薬物による有害事象を少なくするよう治療を工夫する.一方,高浸透圧高血糖状態や糖尿病性ケトアシドーシスなどの急性代謝失調の予防も重要な視点である.