診療支援
治療

小児の糖尿病
diabetes mellitus in childhood and adolescent
菊池 透
(埼玉医科大学教授・小児科)

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GL糖尿病診療ガイドライン2019

GL小児・思春期糖尿病コンセンサス・ガイドライン(2015)

ニュートピックス

・リアルタイムCGM(rtCGM)とリンクし,基礎インスリン自動調節機能が可能になったHCL(hybrid closed-loop)を搭載したインスリンポンプが保険適用になった.HCLでは,患者は食事前に糖質量を入力し,追加インスリンを注入するだけでよい.

治療のポイント

・小児糖尿病の治療の目的は,インスリン作用不足による代謝異常を是正し,良好な血糖コントロールを保ち,健全に心身が成長発達し自立した成人になること,そして糖尿病合併症や心血管系合併症を予防することである.

・1型糖尿病では,制限のない楽しい学校生活を過ごすことが,将来の自立を促す.糖尿病キャンプには,医療スキルの学習のほか,心理的安定,自立の促進という意義がある.

・2型糖尿病では,治療の動機づけを行い,治療を中断することなく成人まで治療を継続することが重要である.

Ⅰ.1型糖尿病

◆病態と診断

A病態

・膵β細胞の破壊によるインスリンの絶対的不足を原因とした,慢性高血糖を主徴とする代謝異常である.小児では,1A型,急性発症が多い.

B診断

・糖尿病かつインスリン依存状態が持続している病態である.

・膵β細胞自己抗体およびインスリン抗体が陽性であれば,1A型と診断する.

・多くは,多飲・多尿・体重減少などで発症するが,学校検尿尿糖陽性でも発見される.

・日本人小児の発症率は10万対年間2.25人である.

◆治療方針

A発症時の治療・患者教育

 まず,インスリンの絶対的不足に伴う代謝異常の改善を行い,次に生涯にわたる糖尿病療養行動の指導を入院で行う.糖尿病ケトアシドーシスの治療は,「糖尿病性ケトアシドーシス」の項()を参照.ただし,小児では①生理食塩液による輸液,②インスリン持続点滴静注(幼児期では0.05単位/

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