診療支援
治療

急性間欠性ポルフィリン症
acute intermittent porphyria(AIP)
長尾元嗣
(日本医科大学大学院准教授・内分泌代謝・腎臓内科学)

頻度 あまりみない

治療のポイント

・発作予防には,誘因の回避に加えて,δ-アミノレブリン酸(ALA)合成酵素(ALAS)を標的としたsiRNA製剤であるギボシランナトリウムの皮下注が有効である.

・急性発作時には,10%ブドウ糖液とヘム製剤であるヘミンの点滴静注を行う.

◆病態と診断

A病態

・ヘム合成にかかわる8つの酵素のうち,3番目のポルフォビリノーゲン(PBG)脱アミノ化酵素(PBGD:porphobilinogen deaminase)の遺伝子異常が原因となる.

・PBGDの酵素活性の低下は,最終産物であるヘムの低下を引き起こし,ヘム合成の律速酵素であるALAS(aminolevulinic acid synthase)の機能亢進をもたらす.その結果,中間産物であるALAやPBGが蓄積し,急性の内臓神経発作や慢性臓器障害を引き起こす.

・常染色体優性遺伝だが,すべての保因者が発症するわけではない.20~40代の女性に偏って発症し,更年期以降は症状が軽快するため,女性ホルモンの関与が指摘されている.

B診断

・急性発作では腹部症状,精神症状,神経症状が3徴とされる.急性腹症を想起させるような激しい腹痛と悪心・便秘などの消化器症状で発症し,不眠や不安の精神症状を訴える.その後,意識消失,けいれん,麻痺,球麻痺といった神経症状を呈する.低Na血症,高血圧,頻脈を伴うことが多い.

・皮膚ポルフィリン症と異なり,光線過敏は伴わない

発作時の部分尿でPBGとALAを測定し,著増していれば急性間欠性ポルフィリン症(AIP)を含む急性ポルフィリン症(AP)と診断できる.AP診断後のAIP確定には糞便中コプロポルフィリン(CP)の測定が有用だが,一般検査として実施できず,専門施設での遺伝子検査を考慮する.

◆治療方針

 急性発作の誘因を避けるように指導する.発作時には早期治療により重症化を防ぐ.AIP未診

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