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治療のポイント
・尿崩症の診断と治療は「バゾプレシン分泌低下症(中枢性尿崩症)の診断と治療の手引き(平成30年度改訂)」により行う.
・中枢性尿崩症と腎性尿崩症を鑑別する.
・尿崩症の原因疾患の治療を行う.特に薬剤性であれば中止もしくは変更を検討する.
・治療による血清Na濃度の変化をモニターする.特に過剰投与による低Na血症に注意する.
◆病態と診断
A病態
・尿崩症は下垂体からのバゾプレシン分泌不全(中枢性尿崩症),もしくは腎臓でのV2 受容体やアクアポリン2などの障害によるバゾプレシンの作用不全(腎性尿崩症)により起きる.
・いずれも腎臓での尿濃縮が不十分となり希釈尿(尿浸透圧300mOsm/kg以下)が出て,尿量が3L/日以上に増加する.
・血清コルチゾール濃度が低下した病態では必ずしも多尿をきたさず,ステロイドの補充により尿崩症が顕性化することがある.
B診断
・口渇,多飲,多尿(成人で尿量1日3,000mL以上もしくは40mL/kg以上)があり,尿浸透圧300mOsm/kg以下となる.
・5%高張食塩液負荷(0.05mL/kg/分で120分点滴投与)で血漿浸透圧や血清Na濃度高値にもかかわらず,バゾプレシン分泌が相対的に低下する(血清Na濃度149mEq/Lで血漿バゾプレシン濃度<1.0pg/mL).3%の体重減少までの水制限試験においても尿浸透圧が300mOsm/kgを超えない.引き続き合成バソプレシン5単位皮下注によるバゾプレシン負荷試験により30分ごとに2時間採尿し尿量が減少し,尿浸透圧が300mOsm/kg以上に上昇すると中枢性尿崩症,300mOsm/kgを超えない場合は腎性尿崩症が考えられる.
・「バソプレシン分泌低下症(中枢性尿崩症)の診断と治療の手引き(平成30年度改訂)」を参照.
◆治療方針
尿量を薬剤と飲水量などで調節し,体液量を一定にする.体重を体液量